
記事制作者:Nazuna.N
人材業界において、広告を活用した集客は年々難易度が増しています。登録は獲得できても応募までつながらない、CPAは合っているのに最終的な成果が見えないーー多くの事業者が同じ悩みを抱えています。
背景には、顕在顧客(今すぐに転職したい層)だけに依存した広告戦略の限界があります。顕在顧客は市場全体のごく一部に過ぎず、その獲得競争は激化する一方です。
そのため、情報収集や比較検討をしている潜在顧客を取り込めなければ、大きな機会損失につながります。
本記事では、人材業界における広告課題を整理し、顕在顧客に加えて潜在顧客も取り込むことで売り上げを最大化するマーケティング戦略について解説します。
1.人材業界の広告課題:応募率が伸びない理由
1-1.顕在顧客だけでは市場が小さい
人材・転職サービスの広告運用では、多くの場合「応募=CV」を前提に設計されています。しかし実際に「今すぐ転職したい」「応募フォームまで進む」層は市場全体のごく一部です。
厚生労働省や民間調査でも示されている通り、常時転職活動をしている層は20%前後にすぎません。
つまり、ターゲットを顕在層だけに絞り込むと、母数が小さく、限られたパイの取り合いになってしまうのです。
結果として、クリック単価(CPC)や応募単価(CPA)は年々高騰する傾向にあります。
1-2.潜在顧客を逃すことによる機会損失
一方で「すぐ転職はしないが、情報収集はしている」「いずれは転職したいと考えている」という潜在顧客は市場の約8割を占めます。彼らは広告を見てもいきなり応募には至りません。しかし、この層を取り込まずに放置すると、せっかく広告で接触しても応募ゼロ=完全な機会損失になってしまいます。
人材業界は検討期間が長い商材の代表格です。短期的な応募数だけを追っていると、潜在層を競合に取られてしまい将来的な顕在顧客となる層を逃してしまうリスクがあるのです。
1-3.CPA指標の落とし穴
多くの広告代理店が「広告CPA=登録単価」をKPIにしています。確かに登録数が増えればレポート上は成果が出ているように見えます。しかし、応募に至らない登録は売上にはつながりません。
つまり本来追うべき指標は応募CPAや応募率です。
登録CPAだけを評価軸にしていると、「数は取れているのに応募数が増えない」という不整合が発生し、広告投資が最適化されません。
2.潜在顧客を応募につなげる導線設計
2-1.診断LPで”自分ごと化”させる
潜在顧客は「今すぐにサービスを必要としている段階ではない」ため、直接的な求人広告には反応しにくい特徴があります。そこで効果を発揮するのがLPです。
例として「あなたに合う転職タイプ診断」や「キャリア志向性診断」といったコンテンツを提示すると、ユーザーは自然と「自分も答えてみたい」と思い、登録への心理的ハードルが下がります。
診断結果を通して「自分のキャリア課題」や「転職の必要性」を実感してもらうことで、潜在層を登録という最初の接点へ引き込むことが可能になります。
2-2. X広告で幅広い層を効率的に集客
診断LPを届けるための媒体として、特に効果的なのがX広告です。
X広告は他のSNSに比べて拡散力が高く、診断コンテンツとの相性が抜群です。「おもしろそう」と感じてもらえればリツイートやシェアが広がり、潜在層への自然な波及が期待できます。
さらに、X広告は比較的低CPAでリーチできるため、幅広い潜在顧客を効率よくLINE登録へと誘導できます。
顕在顧客だけを狙う場合と違い、母数を増やしながら広告費用を抑えることが可能です。
2-3.LINEナーチャリングで短期シナリオを構築
診断LPとX広告で獲得した潜在顧客は、そのままでは応募に至りません。
ここで鍵になるのがLINEナーチャリングです。
・登録直後に「診断結果を深掘りする情報」を提供
・数日以内に「事例紹介」や「求人情報」を配信
・興味が高まったタイミングで「応募CTA」を提示
このように短期集中でコミュニケーション設計をすることで、潜在顧客を顕在化させ、応募に導くことができます。
特に「登録から三日以内のアクション率が高い」ことは多くの事例で確認されており、短期シナリオは欠かせません。
3.成果イメージ
3-1. 応募率の改善
顕在顧客だけを追っていた場合、広告からの応募率は限定的で、登録ユーザーの大半が「放置」状態になりがちです。一方で、診断LPやLINEナーチャリングを組み合わせると、潜在層から徐々に応募意欲を高められるため、登録から応募への歩留まりが改善します。
例えば、登録後の応募率が数%から二桁代に改善するケースもあり、応募数の母数そのものが大きく増加します。
3-2.応募CPAの削減
応募率が改善すると、結果的に応募CPAの削減につながります。従来の顕在層のみを獲得する戦略では、1件あたりの応募獲得コストが高騰しがちでした。
しかし、潜在層を効率的に集め、ナーチャリングで顕在化させる仕組みをつくれば、広告費1円あたりのリターンが高まるのです。
3-3.長期的な獲得の安定化
人材業界は季節要因や求人需要の変動によって、応募数に波が出やすい領域です。顕在顧客だけをターゲットにすると、この波に振り回されてしまいます。
しかし、潜在顧客をあらかじめ取り込んでおき、LINEで関係を維持する仕組みを持っていれば、常に一定の応募母数を確保でき、長期的に安定した成果を得やすくなるのです。
4.まとめ
人材業界における広告運用では、「応募を増やす」ことが最重要のKPIです。しかし多くの企業が陥りがちなのが、顕在顧客だけに依存した戦略です。
顕在層は確かにコンバージョン率が高いものの、市場全体のごく一部しか存在しません。この層だけを狙って広告を展開すると、獲得単価は高騰し、広告費の効率はどんどん悪化していきます。
一方で、情報収集段階にある潜在顧客を取り込み、LINEナーチャリングで顕在化させれば、
・応募率の改善
・応募CPAの削減
・長期的な応募数の安定化
といった成果が期待できます。
「顕在層に頼るのではなく、潜在層を育成して顕在化させる」
これが、これからの人材業界における広告戦略の本質です。
弊社はこれまで多くの人材業界様の「顧客獲得数の頭打ち」や「長期的な事業成長」を伴走してきました。
具体的な改善施策のご相談や、SNSマーケティングにおけるお悩みをお持ちの方はぜひこちらからお問い合わせください。
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【参考サイト】
・https://www.growthtrigger.net/blog/detail.html?1740568433
・https://media.agent-bank.com/categories/knowhow/snsoperation